AI研究の第一人者!松尾豊の生い立ち、経歴について【IT業界人シリーズ: 松尾研究所】
プログラミング学習公開日 : 2020年04月01日 | [更新日] 2023年09月01日
目次
松尾豊ってどんな人?
AI(人工知能)研究の第一人者と言われている松尾さん。
2020年に上映が開始されたAI崩壊では、AIにおける監修を松尾さんが行っています。
これからのテクノロジーの発展、特にAIの側面での発展の鍵を握る人と言っても過言ではありません。
今回は、そんな松尾氏の生い立ちや実績に焦点をあて、詳しくみていきます!
松尾豊の生い立ち
幼少期
・1975年1月26日生まれ
松尾氏は、1975年1月26日に香川県で生まれました。三人兄弟の真ん中で兄と妹がいます。
小さい頃はレゴブロックで遊んだり、絵を描いたりして遊んでいた子供だったみたいです。
小学5年生の時に、両親からポケットコンピューターをプレゼントされたことで、プログラムにどんどんハマっていきます。
ポケットコンピューターとは、本に書いた通りにプログラムすることでその通り動くようになる小さなコンピューターのことです。
このポケットコンピューターにどんどんのめり込んでいき、パソコン誌を購入して、そこに書いてある例題をひたすら解いていたみたいです。
学生時代
・1990年 香川県立丸亀高等学校に進学
その後、高校は、香川県の進学校である香川県立丸亀高等学校に進学します。
高校では、先生の話を聞くことがで苦手で、勉強は全く聞いていなかったみたいです。
一方、当時流行っていた「大戦略」という戦争ゲームに大ハマりし、のめり込みます。
そこで松尾氏は、自らプログラムをいじり、独自のパラメーターを作ることで、ゲームを攻略していきます。
最もコスパが高い兵器は何なのか自ら分析し、その分析結果通りに戦略を組み立てることで友達に圧勝したそうです。
すでに高校生の頃から、今の片鱗があることが伺えます。
・1993年 東京大学工学部電子情報工学科に進学
高校を卒業してからは、東京大学工学部電子情報工学科に進学します。
工学科に進学したのは、当時、コンピューターの分野に関して未開のことが多かったから。
大学に進学したタイミングでぼんやりと現在の研究職につくイメージはされていたみたいです。
その後、同大学院にて、修士、博士課程を修了しています。
松尾豊の経歴
産業技術総合研究所の研究員時代
・2002年 独立行政法人の産業技術総合研究所に入所
東京大学大学院工学系研究科電子情報工学専攻の博士課程を経て、独立行政法人である産業技術総合研究所で研究員になります。
産業技術総合研究所では、AI(人工知能)で著名な研究者がいたので、3年半勤めました。
そのあと、海外特別研究員という制度を利用して、スタンフォード大学に客員研究員として2年間留学します。
松尾氏は、スタンフォードへの留学を通じて、いくら研究をしても事業として形にならなければ意味がないと痛感したそうです。
大学教授時代
・2007年 東京大学大学院工学系研究科 准教授
・2014年 東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 特任准教授
・2019年 東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻教授、システム創成学科PSIコース コース長
そうしたこともあり、2年を終えて日本に帰ってきてからは、すぐにベンチャー企業を立ち上げました。
しかし、そこでも、研究者と経営者は必要な資質が全く違うということに気付き、ビジネスに役立つ研究をしていこうと方向を定めます。
2011年には国から研究費をいただくことをやめ、企業からの出資のみで研究を続けていくことを決断。
企業から出資していただく分、その要望に答えないといけない。
自分が解きたい問題を解けばいいのではなく、顧客の問題を解決できたり、ビジネスをさらに前に進めるための課題や問題に対する解決策を提示できるような研究をしないといけないということを強く意識するようになっていきます。
そうした考え方の変化があったからこそ、出資額はどんどん増えていきました。
研究室の研究員は基本学生で、フルタイムで働くと年収800万円くらいという、かなりビジネスライクな研究室です。
仕事して研究をする場所で、社会の役に立つ研究に携わりながら、お金を稼ぐこともできる研究所となっています。
松尾豊が発表した論文
松尾氏は具体的にはどのような研究を行っているのか。
ここからは具体的な研究内容や、発表した論文に関して紹介していきます。
どのような研究を行っているのか
松尾氏は、どのような研究を行っているのでしょうか。
東京大学の松尾研究室(https://weblab.t.u-tokyo.ac.jp/)の最近の研究についてみていきたいと思います。
松尾研究室では大きく分けて以下の3つの研究対象があります。
・Deep Learning(深層学習)
・Web & Business
・企業との共同研究
Deep Learning(深層学習)
Deep Learningとは、人間が自然に行っていることをコンピューターに学習させる機械学習の中の一つの手法のことです。
Deep Learningの先駆けとなったものだと、囲碁の試合を機械に学習させて人間と対戦させたAlphaGoがあります。
Deep Learning分野でのひとつ事例をみてみましょう。
「階層的アテンションモデル」という研究があるのですが、これは自動運転やHRI(ヒューマンロボットインタラクション)のための研究となっています。
周囲の環境から、人間がどのように焦点をあて、決断しているのかというのをベースに、ハードウェアを活用しても重要な箇所に高解像度で焦点をあてられるようにアテンションモデルを研究しています。
Web & Business
Web & BusinessはWebとビジネスにまつわることが研究対象になっています。
Web & Businessにおける研究事例をみていきましょう。
「消費インテリジェンスの抽出」という研究があるのですが、これは、様々なサイト(ニコニコ動画、受験サプリなど)の大規模なデータを分析することで、定性的に判断することが多い消費行動を、定量化するという研究です。
企業との共同研究
共同研究の事例をみていきましょう。
共同研究では、複数の企業と共同で研究しています。
一部、企業名を抜粋すると、ウェルスナビ、日本経済新聞社、みずほ銀行、リクルート(スーモ、スタディサプリ)といった企業と共に研究を行っています。
上記の3つのカテゴリーからみても、ビジネスに活かすことができる研究のみを研究対象としていることがわかります。
企業から出資が集まっているのも、研究成果が出ていることの裏付けなのではないでしょうか。
松尾豊の有名な論文
松尾氏は、数多くの論文を発表していることもあり、いずれも有名な論文です。なので、どれかに絞るのが大変難しいのが現状です。
松尾氏のウェブサイトにて紹介されている論文を一つ例にあげたいと思います。
「Earthquake shakes Twitter users: Real-time event detection by social sensors」という論文名で発表されているのですが、これは、SNSであるTwitterのみから、地震の発生を検知する技術を発表した論文です。
地震だけでなく、いかなる現実のイベントを検知する技術に関する論文となっています。
その他、松尾氏の論文に関しては松尾研究室のHP上で記載されている論文をご確認ください。
(https://weblab.t.u-tokyo.ac.jp/publications/journals/)
松尾豊の受賞歴
人工知能の領域において、先駆けともいえる松尾氏なので、個人、研究所の研究員も含め数々の賞に受賞されています。例えば、松尾氏個人で言うと、2016年には、人工知能学会全国大会で優秀賞を受賞されています。
直近の受賞歴では、以下が挙げられます。
・WI 2019 Best Student Paper Award
・2018年度 情報処理学会論文賞
・人工知能学会全国大会学生奨励賞
こちらもその他の受賞歴に関しては、松尾研究室のHP上で記載されている受賞歴をご確認ください。
(https://weblab.t.u-tokyo.ac.jp/publications/awards/)
松尾豊にまつわること
ここからは、松尾氏が出版した本や、講演実績について触れていきます。
松尾豊さん執筆した本
松尾さんは、今までの共著、監修のみもあわせて、14もの書籍を出版されています。
直近になって出版された本を3つ紹介します。
1.「東京大学のデータサイエンティスト育成講座」
こちらの書籍は2019年にマイナビ出版より出されています。
この本では、タイトルの通り、データサイエンティストにまつわる知識を本で学ぶことができます。
研究や開発など実際の現場でデータ分析を行いたいと考えている方や、シンプルにデータ解析の技術を身に付けたい方におすすめ。
実際にPythonというプログラミング言語を活用して、手を動かしながらデータ解析に関して学ぶことができる内容となっています。
2.「深層学習」
こちらの「深層学習」2018年にKADOKAWAより出版されています。
この本は深層学習の基礎を理論を含めて学びたいと考えている人におすすめ。
深層学習の分野で著名な研究者達が執筆しており、深層学習の教科書とも言える内容になっています。
3.「よくわかる人工知能」
「よくわかる人工知能」はKADOKAWAより2017年に出版。
この本では、人工知能がどのように活用されているのかや、今後人工知能によって、世界がどう変わっていくのかについて解説されています。
人工知能の技術が自動運転やドローン、人型ロボットなどの事例をもとに解説されているので、人工知能に興味がある方はぜひ読んでみてください。
「人工知能は人間を超えるか」
「人工知能は人間を超えるか」は、2015年に角川EPUB選書より出版。
この本では、囲碁や将棋などディープラーニングで学習した機械が人間に勝つといった事例が出ているなかで、人工知能は人間の知能を超えるのかといった論点で話が進められていく内容になっています。
また、それによって、人間の仕事も人工知能に奪われていくといった予想も。
今後、人工知能が発展していくことでどのような未来になるのか、また、それによって生じる問題などについて解説してくれている本になります。
こちらも興味のある方はぜひ手にとって読んでみてください。
松尾氏のその他の本に関しては、松尾研究室HP上の著書一覧をご確認ください。
(https://weblab.t.u-tokyo.ac.jp/publications/books/)
松尾豊のTwitter
こちらが松尾氏のTwitterになります。
人工知能の講座情報や、人工知能に関するニュースの紹介、ご自身の見解などをよくTweetされています。
人工知能に関する鮮度高い情報を収集したい人は、フォロー必須といっても過言ではありませんよ!
松尾豊さんの講演
松尾氏は主に人工知能に関して、数多くの講演に招待されています。
今後も人工知能の発展の鍵を握る存在であることは間違いないので、講演は増えていくことでしょう。
東京大学で行われたTEDxUTokyoでも、「コンピューターは人間の知能を超えるだろう」というテーマで発表されています
他にも、GLOBISで行われたトークセッションでは、「AIの社会実装」というテーマで実際の事例とともに問題点やうまくいっている点に関して話されています。
興味のある方はこうした動画もぜひみてみてください!
今までに実施した講演も松尾研究室のHP上に掲載されていますので、そちらをご確認ください。
(https://weblab.t.u-tokyo.ac.jp/publications/invited-lectures/)
まとめ
今回は、人工知能における先駆け的な研究者である松尾氏を紹介しました。
スタンフォード大学への留学をへて、ビジネスとして活用されないと意味がないと考えた松尾氏。
そこからの舵きりはとてもスピーディで、現在企業と数多くの共同研究を行っています。
今後、日本では人口が減っていき高齢化社会になります。人口が減ってしまっても、自動運転や人型ロボットといったテクノロジーを活用することで発展し続けることは可能です。
その鍵を握る人工知能分野をリードする松尾氏の研究は今後も必見です。
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