【実録】エンジニアがSES企業で働く前に知っておきたいこと
エンジニア転職公開日 : 2019年12月14日 | [更新日] 2023年06月01日
今、IT業界は慢性的な人手不足に陥っています。その中で必要な期間、必要な人数のエンジニアを調達できる「SES」を利用する企業が増えている現状を知っていますか?
ところが、インターネットで「SES」を検索すると、「グレー」や「違反」などネガティブな言葉がたくさん出てきます。
一方、IT業界未経験者にとって、「SES」はIT業界での経験を積むための仕事としてとても良く見えます。
そこで、今回は実際の体験談を基に「エンジニアがSES企業で働く前に知っておきたいこと」を紹介!
実際のところどうなのか見ていきましょう!
目次
SESエンジニアを目指すなら、複数の転職エージェントに登録して、情報収集・比較検討しよう
SESだけでなく、受託企業や自社開発企業の紹介もあるのでとりあえずエージェントの方に無料カウンセリングすることをおすすめします。もちろん、情報を集めておくためという目的やとりあえず登録しておくだけというのも全然OK!
偏った企業の紹介を避ける、プロの様々な意見聞くためにも、案件複数の転職エージェントに登録しておくことが重要です。
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SESってなに?
SES(System Engineering Service システムエンジニアリングサービス)とは、IT業界における委託形態の一種です。
システムエンジニアが行うシステム開発・保守・運用などの一連の業務が対象となります。
SESで受注したエンジニアは、通常発注元であるクライアントが指定する場所に常駐して作業をします。クライアントは、SEの作業時間に対して報酬を支払うという形態です。
自社開発・受託・SESの違い
IT業界では、ビジネスモデルにより違う形態があります。
その形態は、「SES」以外に次の2種類あります。
・自社開発
・受託開発
自社開発
Webシステム等の対外的なサービスを、基本的に自社のリソースを利用して開発を行う企業のことです。自社開発の特徴は、次の通りです。
納期に厳しくない
納期は社内で決めることができるので、たびたび後ろにズレ込むことがあります。
報酬が高くなりやすい
例外はありますが、自社開発として存続している企業の業績は良いところが多いので、比例して報酬も高くなります。
技術レベルが高い
最新の技術を活用してサービスを提供していきますので、必然的に技術レベルは高くなる。
一見、とてもよさそうに見えますが、「レベルの高い入社希望者が多い傾向」があるため、入社の難易度は高い。
また、提供サービスが盛況であればいいが、何らかの関係で失敗に終わった場合は倒産の憂き目を見る可能性も。
受託開発
他社(クライアント)からシステム開発の依頼を受けて、自社のリソースを利用して行う企業のこと。受託開発の特徴は、次の通りです。
報酬が高くなる場合がある
クライアントと契約した受注金額よりの少ないコストで開発できれば、その分利益が多くなる。
それに比例して報酬も高くなるといった構造。
そのため、研修に力を入れて、エンジニアの生産性を向上させようとします。
納期に追われやすい
クライアントと合意した納期は厳守なので、「納期に追われやすい」傾向に。
開発終盤で進捗が遅れている場合は、土日等の休日を返上してでも納期に間に合わせる。
SESと自社開発の違い
SESと自社開発の最も大きな違いは、「自社で提供するサービスの構築」かそうでないかです。
これは、受託と自社開発の違いでもあります。
SESの場合、開発するシステムは「自社で提供するサービス」ではなく、クライアントが提供するサービスの構築を支援することで収益を得ます。
SESと受託の違い
SESと受託の最も大きな違いは、「成果物責任の有無」です。「成果物責任」とは、仕事をクライアントと合意した通り完成させる義務のことです。
SES契約には、「成果物責任」がありません。SES契約の義務としてあるのが「善管注意義務」です。
「善管注意義務」とは、善良な管理者の注意をもって作業をする義務のことです。
報酬の支払い条件にも影響してきます。
受託の支払い条件は、仕事が完成し、クライアントと合意した(要求された)成果があった場合に支払われます。
報酬額は、ベンダー側がその仕事にかけた費用の大小にかかわらず契約時に合意した金額です。
一方、SESの支払い条件は、委任された作業が終了すれば、たとえそれが発注者の意に沿わなくても支払いが発生します。
その金額は通常、時間単価に稼働時間数を乗じた金額、または、月額固定、または、その両方になります。
SESの問題点・デメリット
SESで働くことを目指すエンジニアとすれば、「成果物が求められない」や「作業した時間がそのまま報酬となる」など、IT未経験者の最初の仕事として最適のようにも思えます。
ではなぜ、SESは「グレー」や「違反」などネガティブなイメージがあるのでしょう。その理由としてよく取り上げられる2つの意見を紹介します。
休みが取りにくい
SESで働くエンジニアは休みが取りにくい契約になっていることがあります。通常のSES契約は「月間の労働時間に下限と上限が決められている」からです。この契約形態は、月ごとの契約金額をきめておき、次のルールを適用します。
作業時間が下限に達しない場合は、報酬額が減額される
その計算式は、「報酬額=契約金額―(未達作業時間×時間単価)」です。
当然、エンジニアが休みをとれば、一日分の作業時間が減らされることになります。
作業時間が上限を超える場合は、報酬額が増額される
その計算式は、報酬額=契約金額+(超過作業時間×時間単価)。
SESベンダーとしては、報酬額が減額されてしまうと売り上げが減少してしまうので、エンジニアに対して作業時間が下限を下回らないように指示します。
エンジニアとしては、休みを取ってしまうと、その作業時間数を挽回しなければいけませんが、それは難しいため、必然的に休みを取らなくなってしまいます。
技術者への指揮命令が曖昧
SESは、クライアントが指定する場所に常駐して作業をするのですが、エンジニアへの指示はSESベンダーの責任者が行わなければなりません。
本来、クライアントの担当者からSESエンジニアに指示をしてはいけないのですが、実際はクライアントの担当者からSESエンジニアに指示をしている場合があります。
これは「偽装請負」という違法行為に当たります。
「SES」に対するネガティブなイメージは、このような正しくない管理に対する指導がされていない場合に起きているのです。
自社開発・受託・SESどれがいいの?
結論としては、「自分にあった会社・ビジネスモデルを探す」ということにつきます。
自社開発がいい
インターネット上のいろいろな意見を見ていると「自社開発の方がいい」という論調が多いように感じます。その理由としては、「優秀な人が多い」「給料はいい」や「スキルアップに最適」が挙げられています。
これらの理由が挙げられていますが、そうではない会社も実は多いんです。「自社開発」の中でも大手であれば上記の理由が当てはまります。
しかし、「自社開発」にはベンチャー企業も多く存在するので、必ずしも当てはまらない場合があります。このようなベンチャーですが、将来的には、「優秀な人が多い」「給料はいい」や「スキルアップに最適」な企業になる可能性がありますので、その時のメリットはかなり大きなものになるでしょう。
受託がいい
これも、インターネット上のいろいろな意見を見ていると、「受託は悪くないので、採用されたらとりあえず行ってみましょう」という声が多いです。その理由としては、「給料がいい」場合や「スキルアップに力をいれている」ところが多いということが挙げられています。
自社開発と同様こちらも、そうではない会社も多いのが現状です。「受託」の場合に確認すべき点は、クライアントから直接受注する「元請け」なのか、「元請け」から受注する「下請け」なのか、それとももっと下の「二次請け」「三次請け」・・・・・・で受注しているのかということです。
「元請け」は大手企業が多く、経営が安定していることも多いので、「給料がいい」、「スキルアップに力をいれている」企業が多くあります。
「下請け」の場合、対価の中抜きがありますので、給与は少なめです。対価の中抜きは「二次請け」「三次請け」となるほどどんどんされていくので、その分、給与が少なくなっていきます。
「元請け」でもう一つ注意しないといけないのは、仕事内容です。
「元請け」のエンジニアは、プロジェクトを管理する役割を務めることが多くなります。管理業務がやりたい方にとってはオススメですが、プログラミングをやりたい人や新しい技術を使いたい人にはあまり向いていないでしょう。
SESがいい
[SES」として働く際の注意点は、SESベンダーの「質」です。
残念なことですが、SESベンダーの中には、エンジニアのことを駒の一つとしか思っていないところがあります。そのようなベンダーの場合、常駐するクライアントを選ぶ際にもエンジニア自身のことを大切にしないところもあるからです。
コミュニケーションが苦手な人には、おススメです。
一つの会社に就職すれば、転職あるいは社内異動がない限り、同じ職場、同じ上司、同じ同僚、と働くことになります。気の合う上司や同僚であればいいのですが、正直それは稀でしょう。人間関係は、努力しても改善できないことがほとんどですし、生理的に無理な人もいますよね。
一方「SES」は、他社の社員との付き合いであり、必要以上のコミュニケーションは不要です。もし、相性の悪い相手に当たったとしても、常駐先がかわればその人間関係もなくなるといったメリットもあります。
なお、入社のしやすさは、SESベンダーが最も簡単です。「新卒以外のコネなしスキルなしの実務未経験者」であるなら1つの選択肢としてありでしょう。
SESでもいい常駐先はある
安心して働きやすい常駐先も当然あります。そのような常駐先は、SESベンダーや常駐しているエンジニアとの関係も良好です。以下の点を注意してください。
経験の長い人や、ベテランはいるか
長く1つの常駐先にいるのであれば、関係性は良好といえます。ただし、同じベテランといっても最近配属されたばかりの人の場合は、「良い/悪い」の判断はできません。
休みは取りやすいか。長時間労働になっていないか
過度の作業量が与えられていないこと、急な作業依頼が頻繁にないなど、作業量を適正に管理しているといえます。
常駐前に「良い/悪い」の判断することはなかなかできませんが、SESベンダーに質問することで認識できます。また、このような質問に真摯に答えてくれるベンダーであれば、安心出来るでしょう。
未経験者・初心者エンジニアにはSESでスキルアップするのがおすすめ
SESの最もいいところは、未経験者・初心者エンジニアにとっての入社難易度の低さです。その傾向は、IT業界が慢性的な人手不足なことにより、ますます下がってきています。
そのような状況で、未経験者・初心者エンジニアの方が最初から自社開発や受託を狙うより、SESでスキルもアップしてから自社開発や受託に転職する方法もあります。(SESの居心地がいいのであれば、そのまま続けても構いません)
ここで一つ問題がもあります。
それは、SESとして携わっている業務が自分が思い描いている将来と直結するとは限らないということです。というより、直結することはほぼないでしょう。転職に活きる経験やスキルを積みにくいといえます。
ゆくゆくは転職あるいはスキルの高いSESを目指している方は、ご自身の志望するキャリアに必要なスキルを重点的に学習できる環境をご自身が構築する必要があります。
常駐先がブラックだったら辞めよう
常駐先がブラックな企業の場合はどうすればいいでしょう。
対策を考える前に、このブラックな企業がやっていることを見てみましょう。ブラック企業は、次のようなことをやっています。
実際に働いた時間数よりも少なく申告させる
SES契約はエンジニアが働いた時間数(作業時間数)に対して報酬を支払うという形態です。作業時間数が少なければ支払いも少なくなり、多ければ多くなります。ブラック企業としては、支払いが少ないほうがいいので、作業時間数を少なく申告させようと強要します。
契約を逸脱した指揮命令
SES契約では、クライアント側の担当者がSESエンジニアに対して直接指揮命令することは法律で禁じられています。ところが、そんなことは無視して指揮命令をしてくる職場があるのが現状です。場合によっては、契約に記載のない無理難題を押し付けてくることもあります。
無理な作業量をさせる
立場の上下関係を利用して、納期には到底間に合わない量の作業をさせようとします。特に納期が近いときや大幅に進捗が遅れている時に、このようなことが起こります。
このようなブラックな状態を作っているのはSESベンダー側にも問題があります。
本来、SESベンダーとしては自社の社員が高負荷になって良いことはなにもありません。「社員の病気」「社員の退職」や「残業代の高騰」など、普通に考えても社員の高負荷は避けたいことです。
しかしながら、SESベンダーがこの状態を放置している実態があります。その理由は以下の通りです。
営業力がない(不足している)
営業力がないので、取引先の新規開拓が出来ません。新規開拓が出来ないということは、既存顧客に売上の大半を依存するしかありませんよね。既存顧客に売上の大半を依存するということは、既存顧客の言いなりになってしまいます。
育成にコストをかけていない
SESは、自社でエンジニアとして育成し、育成した社員を売り込むのが本来の流れです。
ところが、エンジニアとして育成するためにはコストがかかりますし、育成している間は売り上げが発生しません。育成にコストをかけたくないがために、OJTという名でエンジニアを現場に送り込みます。送り込まれたエンジニアが出来ることはたかが知れていますよね。これを繰り返すことで、結局は顧客の言いなりになってしまいます。
常駐先がブラックな企業の場合は、「逃げるが一番」です。スキルアップして転職してしまいましょう。スキルアップすることは、転職先の選択肢を広げることにもつながります。
転職先の選択肢を広げるためにプログラミングスキルを磨こう
スキルアップの手段として、独学とプログラミングスクールに通学する2つの方法を紹介。
独学でスキルアップをする
これは、実に手軽な方法です。
しかし、SESを経験した方の多くが、「業務中に疑問点を気軽に聞くことが出来なかった」と言っています。疑問点はその場で解決するのが最も有効なのですが、質問できる人が身近にいなければ、時間がかかったり、最悪挫折したりしまうので注意が必要です。
プログラミングスクールに通う
プログラミングスクールに通うのは、効率よく短期間でスキルアップをすることができる手段です。費用はかかりますが、生徒の個人個人に最も効果的な学習方法を提案してもらうことができます。
また、教科書の内容は当然のことですが、普段の仕事上での疑問をインストラクターに質問することができますので、仕事にもいい影響があります。
転職が希望の人には、求人紹介などのサービスがあるスクールもありますので、キャリアアップにもつなげることも可能でしょう。
「受講料がね・・・」と思っている人いるでしょう。分割払いや教育訓練給付金などを利用する方法もあります。詳しくは、スクールに問い合わせをしてみてください。
まとめ
「SES」には、ネガティブなイメージが付きまとっているのは事実です。
しかしながら、IT業界未経験者にとって、「SES」はIT業界での経験を積むためのファーストキャリアとして有効な手段でもあります。
それでも、「自分には合わない」や「常駐先やSESベンダーがブラック」の場合は、プログラミングスクールでスキルアップをして転職することを考えましょう!
SESエンジニアを目指すなら、複数の転職エージェントに登録して、情報収集・比較検討しよう
SESだけでなく、受託企業や自社開発企業の紹介もあるのでとりあえずエージェントの方に無料カウンセリングすることをおすすめします。もちろん、情報を集めておくためという目的やとりあえず登録しておくだけというのも全然OK!
偏った企業の紹介を避ける、プロの様々な意見聞くためにも、案件複数の転職エージェントに登録しておくことが重要です。
今後IT業界への転職、別のIT企業への転職を考えている方は、以下のエージェントがおすすめです!
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