ITエンジニアが知っておきたいIT偉人【Linux生みの親:リーナス・トーバルズ編】
プログラミング学習公開日 : 2019年12月17日 | [更新日] 2023年06月01日
エンジニアの皆さん、エンジニアを目指す皆さん、こんにちは、こんばんは、おはようございます。
さて、今回取り上げる方はエンジニア(特にプログラマー)なら知らない人はいないと言われるほどの偉人、リーナス・トーバルズ氏です。
古くから彼を知っている方は、オープンソースのOSである”Linux”のカーネルを作ったプログラマーであり、最近の方の印象だと”Git”を作ったプログラマーというイメージなのかもしれません。
今では”普通なもの”として存在している「オープンソース」という世界ですが、”Linux”と”Git”という2つのプログラムによってオープンソースというものを広く浸透させ、IT業界を変えた超スゴイ人「リーナス・トーバルズ」。
今日はそのリーナス氏について詳しく解説していきたいと思います、よろしくおねがいします!
目次
リーナスってどんな人?
リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)は1969年12月28日、フィンランドの首都ヘルシンキで生まれました。オーロラが見える、サンタクロース辺りのところですね。
ちなみに「リーナス」という名前は、両親がアメリカの著名な量子化学者であるライナス・ポーリング氏にちなんでつけたそうです。余談ですが、ファミリーネームである”Torvalds”は、リーナス氏の祖父が自分の姓である”Torvald”の最後に”s”を付け足した姓だそうで、「Torvalds姓は全員親戚だ」とリーナス氏は述べています。この辺りの逸話もかっこいいですね。
11歳のとき、リーナスは母方の祖父から米コモドール社のVC120というパソコンをもらったことからパソコンに興味を持ちます。いまの時代に照らし合わせるとそれほど早いという印象はないかもしれませんが、当時でいうとまだ1980年代、PCが企業でも導入されていなかった時代にリーナスはパソコンに興味を持ち出すのです。
1990年、ヘルシンキ大学在学中に読んだアンドリュー・S・タネンバウムの「オペレーティングシステム‐設計と理論およびMINIXによる実装」という本に感銘をうけます。本人が「人生を変えた本」とまで言っているほど。
その後、この本で取り上げられていたMinixOSを置き換える自作OSを開発し、それがまさにLinux(Linus’s Minix)と名付けたものでした。
Linuxの一般公開後
Linuxの一般公開後、カーネルのソースコードのメンテナーとして日々世界中から送られてくるソースコードをマージするか否かを最終決定する立場にいます。
リーナス氏の人物像としては、歯に衣を着せない過激な発言も有名で、ルールを守っていないパッチコードを贈ろうものなら、晒し者にされてトコトン罵倒されるくらいの勢いです。
好意的にみれば、それだけ真剣に向き合っていて、自分の作ったLinuxカーネルに対する保守をライフワークとして果たしていると言えるのではないでしょうか。
冒頭で書いたように、リーナス氏の開発したもう一つの著名なソフトウェアに分散型バージョン管理システムである”Git”があります。
もともとLinuxカーネルのソースコード管理には「BitKeeper」というバージョン管理システムを使っていたのですが、とある事情で使えなくなってしまい、代替手段として開発されたのが「Git」です。
このリーナス氏が開発したGitは、Linuxの巨大なソースコードを管理しつつ差分の抽出やブランチの生成などが高速に行えるよう工夫がされており、その設計と実装においてはリーナス氏のプログラマーとしての知見が存分に発揮されています。
Gitはその後、GitHubなどのサービスで活用されたことで、またたく間にオープンソースのソースコードリポジトリとして広まり、現在ではデファクトスタンダードと言っても良いくらい有名なソースコード管理システムとなっています。
このようにリーナス・トーバルズ氏は世界規模でオープンソースを育てていくことの先駆者であり、さらに他のオープンソース開発者にも高速で便利なソースコード管理環境を提供した、現在のソフトウェア業界にとても大きな貢献をした方なのです。
リーナスの名言・格言
ここではリーナス氏の名言を取り上げていきたいのですが、先にも述べたように暴言のほうが目立って取り沙汰されていることが多い方でもあります。そういった態度をとってしまうことは確かに褒められたものではありませんが、それなりの理由があったりするので調べてみるときは「どうしてそのような事態になったのか?」というところまで調べてみることをおすすめします。
では気をとりなおして、名言のほうをご紹介していきます。
“Given enough eyeballs, all bugs are shallow.”
大勢の目があれば、すべてのバグは大した問題ではない。
これは、Linuxのソースコードを多くの人に公開して、たくさんの開発者によってメンテナンスされていくことがどんなバグでも解消にもつながるという、オープンソースの考え方の基礎となっている名言です。
だからといってバギーなプログラムをコミットしていいというわけではなく、それがそのプログラムを使う人にどれだけ不利益を与えるかを十分に知っているからこそ、キツイ言葉で一喝するのだと思います。
“Most good programmers do programming not because they expect to get paid or get adulation by the public, but because it is fun to program.”
ほとんどの優秀なプログラマーはお金を得ることや世の中からのお世辞をもらうためにプログラミングをしているのではない。プログラムすることが楽しいんだ。
有益なソフトウェアを開発したことで名声や富を得た偉人たちはたくさんいますが、そのような方たちこそインタビューなどで「世の中を変えたかった」といった発言をしています。お金や名声を目的にしてしまっては良いものは作れない、世の中に有益なものを開発して提供したことによって得られた結果にすぎない、と。
これからエンジニアを目指す方がプログラミングの技術を手に入れたのならば、それを何のために使うのか?ということを考えてみてくださいね。
“There are lots of Linux users who don’t care how the kernel works, but only want to use it. That is a tribute to how good Linux is.”
Linuxユーザーの多くはカーネルがどう動いているのかは気にしない、ただ使いたいだけなんだ。それこそがLinuxの素晴らしさを表している。
素晴らしいプロダクトはそこにあることを意識させないくらいみんなが便利に使えることなんだ、ということをLinuxのカーネルを例にとって言っています。
使うのが面倒で難しいようなソフトウェアだと、バグがあってとある機能が使えなくても、まあいいかと諦めもつくのではないでしょうか。ですが、意識しないくらい溶け込んでるソフトウェアにバグがあった場合、使う人がイライラしたり、思考が停止してしまう事態が想像できます。
だからこそLinuxのカーネルに対して、バグの混入や他の開発者に動作がわかりにくいコードを排除すべく、最終承認者として保守につとめているのでしょう。
“I am not a visionary. I’m an engineer. I’m happy with the people who are wandering around looking at the stars but I am looking at the ground and I want to fix the pothole before I fall in.”
私はビジョナリーではない。星をみながら「あそこにたどり着きたい」という人と一緒にいるのは私にとっても良いことではあるが、自分は地面の穴を必死に探しながら、落っこちてしまわないよう修復をしたいんだ。
この発言からはリーナス氏が根っからのプログラマーであることがわかります。他の著名なIT偉人たちとちがい、Linuxを元に自ら会社を起こして事業にしたり、有用な技術をもつ企業を買収してテリトリーを広げるといったことをしていません。
リーナスの経歴
学生時代
1988年から1996年までヘルシンキ大学で学び、Linuxに関する修士論文「Linux: A Portable Operating System(Linux: 移植性の高いオペレーティングシステム)」で計算機科学の修士号を取得しています。その頃、コンピューターゲームで遊びつつエディタやアセンプラを書いたりしていました。
1991年にインテルのCPU386を搭載したIBM互換機を購入し、アセンブリ言語の勉強をします。ハードウェアの改造も経験していたこともあり、キーボードのデバイスドライバなども開発できるようになりました。
同年8月にMinixOSを書き換えた自作OSをLinuxと名付け、一般公開。
シリコンバレー時代
リーナス氏は1997年にトランスメタというマイクロプロセッサの会社に就き、アメリカのカリフォルニア州サンノゼに移住します。2003年までこのトランスメタ社で働きますが、当時のシリコンバレーで7年同じ会社に働くタイプは珍しかった、と語っています。
オレゴンへ
2004年6月にオレゴン州に家を買うのと一緒にOpen Source Development Labs (OSDL)に移籍します。そこでリーナス氏はプロジェクトコーディネーターとしてフルタイムでLinux開発に関わっています。
このOSDLは2000年にIBM、Intel、NEC、HPといった企業がLinuxの開発やビジネスへの利用を推進するために立ち上げたNPOであり、2007年にオープンソースの標準化コンソーシアムであるFree Standards Groupと合併し、現在のLinux Foundationとなっています。
受賞歴
リーナス氏の功績は様々な受賞歴にもあらわれており、以下にご紹介します。
- 2000年のタイム誌「今世紀の100人」において、インターネット投票で17位に選出される
- 2004年のタイム誌「世界で最も影響力のある一人」に選出される
- 2004年に行われた史上最も偉大なフィンランド人100人の投票で16位に選出される
- 2005年のビジネスウィーク誌「最も優秀な経営者の一人」に選出される
- 2006年のタイム誌「60 Years Of Heroes」に選出される
- 2012年にミレニアム技術賞受賞
引用元:Wikipedia
リーナスやLinuxに関する書籍
リーナストーバルズやLinuxに関する書籍です。リーナスについてもっと知りたい方は、1冊目の「それがぼくには楽しかったから」がおすすめ!リナックス誕生の経緯やリーナスについて深く知ることができます。
Linuxについて勉強したいという方は、「本気で学ぶinux実践入門」や「新しいLinuxの教室」がおすすめです!
それがぼくには楽しかったから
リーナスのスピーチ・インタビュー動画
これほどまでに有名なリーナス氏ですが、あまり人前にでることは好まないため、インタビューやスピーチ動画は少ないです。数少ないスピーチやインタビューを集めたので、ぜひご覧ください。
Linuxの背後にある精神
TEDのキュレーターであるクリス・アンダーソン氏とのインタビュー動画です。リーナス氏が普段どのように仕事をしているのか、仕事や技術や人生に対してリーナス氏独特のさまざまな考え方を知ることのできる貴重な動画です。
ずっと個人で開発してきたプログラムに他人からコメントやアドバイスをもらえたことこそが最もインパクトのある体験だったとして、オープンソースを通じてお互い嫌いな者同士でもプログラムを開発していけるとちょっぴり自分の言動もネタにしながら非常にジェントルに語っていますので、是非ご覧になってみてください。
Linusが吠えた! ─中指立てて「NVIDIAは世界最悪の企業」
こちらはまったく逆の過激なリーナス氏を垣間見ることのできる動画です。MicrosoftのWindowsですとか、AppleのmacOSですとか、リーナス氏が過激に攻撃した対象はいくつかあるのですが、特にNVIDIAに対しては我慢ならなかったようでカメラに向かって中指を立てて宣戦布告のような事態に・・・。
リーナスをフォローする
リーナス氏の動向を知るためにフォローしてみたいと思うかもしれませんが、唯一ご本人がもっていたアカウントが「Google+」だったため、現在ではその術がありません。
ウデに自信があるならば、Linuxの開発に関わることが一番の近道ですね。
まとめ
エンジニアであれば名前だけは聞いたことあるという方も多かったと思いますが、LinuxはAndroidスマホのOSのベースにもなっているので、リーナス氏の功績があったからこそ、今の便利な世の中を享受できているといっても過言ではありません。
そしてエンジニアにとっても、Gitから開発者が互いにソフトウェアを公開し改善できるサービスなどが提供され、社会をささえるような大規模なオープンソース開発にも参加できる機会にふれることができる世界が実現されていることは素晴らしいことだと思えませんでしょうか?
「Linuxは自分にとって必要で、楽しかったから作った」と、自著である”Just for Fun: The Story of an Accidental Revolutionary”で語っています。「必要なものを使いやすく品質良く提供する」ことをとことん追求するという姿勢から生み出されたLinuxとGitは、そのバックグラウンドにある精神的な面も含め、広く世界に浸透し、世界をよりよいものに変えることとなりました。
プログラマーやエンジニアに限らず、リーナス・トーバルズ氏の考え方や姿勢から、この記事を読んでくださった読者の皆さんが人生のヒントを得られることにつながれば幸いです。
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