未経験がSESからエンジニアを目指すのってどうなの?
エンジニア転職公開日 : 2020年05月07日 | [更新日] 2023年10月01日
ITエンジニアになりたいと思っていても、未経験で雇ってくれる会社はなかなか見つかりません。
しかし、SESなら、未経験でもOKという会社がたくさんあります。
とはいえ、SESは、よくない噂が多いのも事実です。本当にSESでいいのか不安になるのではないでしょうか。
そういった方に、未経験の方がSESからエンジニアを目指すメリットとデメリットについてご紹介します。
目次
まずSESってなんなの?
良くない噂の多いSESですが、どんな業種かを知らないと、未経験の方がSESからエンジニアを目指す場合のメリットとデメリットを理解できません。
まずは、IT業界におけるSESの位置づけや、働き方などについて解説します。
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SESとは
今回取り上げるSESとは
システムエンジニアリングサービスの略で、企業で運用されている情報システムの開発・保守・運用を担当する委託契約の名称で、このサービスを提供するIT企業をSES
と呼びます。
なお、日本では、自社の情報システムの開発・保守・運用を社員が担当するのは全体的に見ると比較的に少なく、外部の専門企業に依頼していることがほとんどです。
そして、そういった仕事を請け負う専門企業が、ITエンジニアを多数抱えるSESです。
ただし、会社の情報システムは、社外秘の情報を多く扱うことから、簡単に外部に委託できるものではありません。
そこで、SESでは顧客の会社にITエンジニアを派遣し、その会社の社員と同じ環境で情報システムの開発・保守・運用を担当させています。
なお、今はITエンジニアが不足しており、採用に苦労している会社がたくさんあります。
その点、SESは多くのITエンジニアを抱えており、未経験の方を教育する仕組みがあるなど、未経験の方が採用される可能性が高いのが特徴です。
SESと派遣の違い
多くの企業の事務所では、主に事務処理などで派遣社員が社員と同じ環境で働いています。
しかし、SESから派遣されたITエンジニアは、このような派遣社員と同じではありません。
派遣社員とSESから派遣されたITエンジニアの働き方は、どちらも法律で決められており、それに従って勤務しています。
派遣社員とSESから派遣されたITエンジニアの違いの基本とは、指揮命令を誰から受けるかです。
派遣社員は、自分が所属する会社ではなく、派遣先の管理職から指示された仕事を担当します。
それに対して、SESから派遣されたITエンジニアへの仕事の指示は、SES企業が行います。
常駐している会社の管理職から仕事の指示を直接受けることはありません。
これは法律で決められていることなので、未経験からITエンジニアになった方も対象です。
SESに入社し、常駐している会社で仕事をするようになったら、誰の指示の仕事かにも注意しましょう。
SESと請負の違い
情報システムを扱う会社間の契約は、請負、準委託、派遣の3種類です。
このうち派遣とは、先ほど紹介した事務処理を担当する派遣社員と同じく、派遣先の管理職から仕事の指示を受けます。
例えば、情報システムを自社で開発でき、保守や運用を担当する社員がいる一部の会社では、足りない人員を派遣社員のITエンジニアで賄っているケースが該当します。
一方、請負と準委託は、どちらも情報システムを自社で開発できない会社が外部の専門企業に依頼する場合に契約ですが、請負は完成品に対する責任を持ち、準委託は完成品に対する責任を持たない点が違います。
もし、請負の場合は、顧客に納品後に不具合が見つかった場合は、それを修正する義務を負います。
しかし、準委託では、期間が終了したら、よっぽどのことが無い限り、不具合に対する義務を負いません。
そして、SESでは、一定期間、ITエンジニアを派遣する契約を結ぶことが多く、この場合は準委託契約です。
SESと自社開発の業務の違い
多くの企業が情報システム部門を抱えており、そこでは社内SEと呼ばれるITエンジニアが働いています。
では、なぜ、SESに情報システムの開発・保守・運用を委託するのでしょうか。
実は、企業は情報システム部門の社員は、この先定年までITエンジニアとして働ける訳ではありません。
管理職になって違う部門に移る方もいます。
また、予算管理やヘルプデスク、外注先の窓口業務など、情報システムに直接関係しない仕事もたくさんあり、プログラミングに専念できる環境ではありません。
そのため、派遣社員やSESに依頼しているケースがほとんどです。
ただし、情報システムを自社で開発しているケースもありますが、恵まれた環境とは言えません。
そういった職場には、新しいスキルを学ぶ機会が得られず、古いシステムの保守の仕事ばかりでやりがいを感じられない、といった方もいます。
SESでもこのような職場に当たるケースもありますが、幾つもの案件を抱えるSESなら、新しい仕事に移れるチャンスもあります。
SESがやめとけと言われている理由
IT業界は、かつてブラックな職場のある業界として有名でした。残念ながら今でもそういった職場がまだ残っています。
そして、今もブラックな職場と言われることが多いのがSESです。
そのため、ネットにはSESの悪い評判がたくさん見つかります。
未経験からエンジニアを目指す方に、SESの職場の評判が悪い理由をご紹介します。
未経験エンジニアは案件を選べない
今はITエンジニアが不足しており、多くの企業で経験豊富なITエンジニアの採用を考えています。
しかし、だからと言って未経験のITエンジニアも簡単に就職できる訳ではありません。
これは、未経験のITエンジニアでも担当できる仕事を割り振ったり、エンジニアとしての教育や経験を積ませる仕組みのある企業が限られているからです。
その点SESは、比較的仕組みができているので未経験のITエンジニアの採用に熱心です。
しかし、残念ながら未経験エンジニアが自分のやりたい仕事を選べるとは限りません。
未経験のITエンジニアでもできる仕事のある職場に割り振られてしまいます。
とはいえ、その仕事が自分の望んだ仕事でなかったとしても、ITエンジニアとして学べる点があるはずです。
逆に言うと様々な案件関わることができるともいえます。
多くのことを学んでスキルアップし、自分のやりたい仕事ができるように準備しましょう。
単価・年収が低い
アメリカではITエンジニアの平均年収が1000万円を超えており、他の多くの国でも日本より高い年収をもらっています。
しかし、日本では、1000万円の年収がもらえるITエンジニアは多くありません。
そして、このように日本のITエンジニアの年収が低い原因の一つとされるのが、SESのエンジニアの給料が低さです。
そして、この給料が低い原因が、IT業界特有の多重請負です。
なお、多重請負とは、情報システムの開発を請け負った会社が、SESに準委任でITエンジニアの派遣を依頼し、それを受けたSESに適任者がいない場合、さらに別のSESに準委任でITエンジニアの派遣を依頼する、という仕組みです。
このように途中に幾つものSESが関わることから、現場で働くITエンジニアの単価が安くなってしまいます。
ただ、未経験エンジニアの場合、スキルが低いので、給料が低いのは当たり前です。
SES企業でスキルアップ後、勤務先と交渉・自社開発企業に転職するなどして給料をあげていくといいでしょう。
エンジニアとしてのスキルが伸びにくい
SESの問題として、エンジニアのスキルが伸びにくい点もよく挙げられます。
特に、年々新しい技術が登場し、それを使いこなすことが求められるWebエンジニアに比べると、SESのエンジニアは、将来が不安になるくらいスキルを学べない、と言われています。
これは、企業の情報システムが、長く使われることが多く、しかも、新規案件だとしても実績のある開発環境が使われることが原因です。
中には、5年以上前に作られた情報システムの運用を担当することになり、その職場で使われているスキルは、5年以上前のものばかりという方もいます。
また、新規開発案件だったとしても、そこで使われる技術は、5年以上前のものばかり、ということも珍しくありません。
IT業界は、技術の進歩が速く、より効率良く開発できるプログラム言語や開発環境などが、毎年のように登場します。
そして、よく比較されるWebエンジニアは、そういった技術を次々に習得することで、より高度なシステムが開発できるようにスキルアップしています。
ただ、古い技術でもプログラミングの基本は同じです。
新しい技術が職場で学べない場合は、職場で基本を学び、仕事以外の時間で新たな技術をキャッチアップするようにしましょう。
常駐企業に当たり外れがある
仕事で良い結果を出すためには、仕事をしやすい環境が欠かせません。
しかし、職場の環境、特に人間関係を改善することは難しく、これが原因で仕事の効率が落ちている職場もたくさんあります。
さらに、ITエンジニアにとっては、毎日使うパソコンの性能や、インターネットが使えるかどうかも、作業効率に大きく影響するポイントです。
残念ながら、顧客の事務所で作業することの多いSESのITエンジニアは、このような職場環境の影響を大きく受ける職業です。
まず、常駐している社外の人間ということで、関係をうまく構築できないケースがあります。
SESのITエンジニアは、常駐企業に当たり外れがあり、外れに当たると仕事を辛いと感じることもあります。
未経験からSESを目指す方は、そういったリスクも考えておきましょう。
逆に人間関係がうまくいかなくても、ある程度の期間で変わるのがいいという捉え方もできるかもしれませんね。
常駐先の企業がコロコロ変わる
情報システムを外部に発注する会社にとって、必要な期間のみITエンジニアに来てもらい、開発が終わったら帰ってもらうというSESの準委任の仕組みは、エンジニアを社員として雇うよりも都合の良い方法です。
そのため、開発に関わるITエンジニアは、時期が来たら違う常駐先の企業に移るのが一般的です。
このように職場が変わることは、特に未経験からエンジニアを目指す方にとってはスキルアップのチャンスです。
ただ、SESでは、自分がやりたい仕事ができる職場に移れるとは限りません。
その点は注意しておきましょう。
未経験エンジニアがSESで働くメリット・デメリットとは?
前に解説したように、SESは、未経験エンジニアにとって就職しやすい業界です。
しかし、先ほど説明したように、SESには良くない話が多く、ネガティブな印象を持たれた方もいるでしょう。
それでもSESには、未経験からITエンジニアを目指す方にとってのメリットがいくつもあります。
次から、SESのメリットとデメリットとを紹介します。
未経験エンジニアがSESからエンジニアになるメリット
SESからエンジニアになるメリットとして、真っ先に挙げられるのが、エンジニアとしての経験が積める点です。
IT業界でエンジニアとして就職する際は、必ず経験とスキルが問われます。そのため、未経験の方はなかなか採用されません。
その点、SESは未経験の方も積極的に採用している会社がたくさんあります。
そして、SESで働くことで、少なくとも常駐先の会社で働く際のマナーや、開発の仕事の進め方、また、チームとして仕事をするために必要なスキルなどが学べます。
これは、学校やプログラミングスクールでは学べない貴重な体験です。
未経験エンジニアがSESからエンジニアになるデメリット
採用されたばかりの未経験エンジニアが最初に担当する仕事は、基本的に誰にでもできる作業です。
しかし、このような作業で満足してはいけません。
誰にでもできる仕事をずっと続けていては、IT業界で働くために必要なスキルを学べないからです。
また、プログラム作成を任されたとしても、思い通りのプログラムが作れる訳ではありません。
細かい規則が決められており、それに従ってプログラムを作ることから、プログラミングスキルが上達しないケースもあります。
さらに、先ほども説明したように、給料が安い点も大きなデメリットです。
そのため、ITエンジニアとしてのキャリアを考えた場合、長くSESで働くことはデメリットでしかありません。
SESで働くなら、現状に満足せず、将来転職することも視野に入れて、キャリアアップを考えておきましょう。
未経験エンジニアはSESを利用してキャリアアップすべき
プログラミングを学んだばかりの未経験エンジニアが、すぐにIT業界で働けるとは限りません。
それは、IT業界は、仕事に必要なスキルと経験の無い方を採用しないからです。
しかし、SESなら、未経験でも採用数が多く、就職できれば仕事に必要なスキルと経験を学ぶ機会が得られます。
そのため、未経験エンジニアがうまくSESを利用すれば、エンジニアとしてキャリアアップすることは十分可能です。
しかし、そのためには、ブラックでない、スキルアップができるSESを選ばなければなりません。
また、SESの仕事に安住せず、将来のキャリアを考えて、スキルアップしていくことも大事です。
未経験エンジニアはどうやってSES企業を選べばいい?
これまで説明したように、SESで働くことにはメリットもありますが、多くのデメリットもあります。
とはいえ、このデメリットは、就職した会社によって差があり、中にはにキャリアをスタートする会社として適している場合もあります。
そのため、未経験からエンジニアを目指す方にとっては、どのSESに就職するかが重要です。
そこで、次からSESを選ぶポイントについてご紹介します。
SES選び方のポイント:社員教育に力を入れているか
SESの中には社員教育として集合研修を実施している企業もありますが、基本的に常駐先で先輩社員から指導を受けるOJT(オン・ジョブ・トレーニング)が中心です。
そのため、同じ常駐先に、経験豊富なエンジニアがどれだけいるかが、SESを選ぶポイントになります。
エンジニアとして成長するには、身近で教えてくれるメンターの存在が欠かせません。
同じ職場に、経験豊富な中途採用のエンジニアが働いているかをチェックしましょう
例えば、若い人しかいない、というSESは、新規に採用する人も多いものの、辞める人も多い、ブラックな企業の可能性があるので、避けた方が良いでしょう。
なお、SESで実施している集合教育ですが、受けられる機会は多くありません。
そのため、集合教育があるとしても、それは大きなメリットとは言えないので注意してください。
SES選び方のポイント:案件を選ぶ際に社員の意見を傾聴してくれるか
SESでは、営業担当者が仕事を受けて、その仕事にエンジニアに割り振り、そのエンジニアが発注した会社に常駐して仕事をします。
そのため、エンジニアがやりたい仕事を希望しても、営業担当者が仕事を受注できないと、希望する仕事はできません。
逆に、エンジニアがやりたくない仕事ばかりを営業担当者が受けてしまう、ということもあります。
そのため、どのような営業をしているかも、SES選びのポイントです。
例えば、大手企業の仕事だけを受注しているSESは安定していると思うかもしれません。
しかし、エンジニアの希望に関係なく、その大手企業の指示どおりの仕事しかできない、ということもあります。
また、営業担当者の人数が極端に少ない場合も、既に付き合いのある同じ企業からの発注しか受けられないことから、仕事が偏っているかもしれません。
そのため、SESがどのような営業をやっているかも、チェックしておきましょう。
SES選び方のポイント:質問に対してしっかりとした説明をしてくれるか
大量に採用するものの、辞める人も多いブラックなSESは、採用面接などで自社の良い点しか説明しないケースがよくあります。
そして、そのような会社では、自社に都合の悪い質問には、はっきりと回答してくれません。
もし、質問に対してしっかりと説明できない会社は、ブラックな会社の可能性が高いでしょう。
このような会社は、どんなに条件が良くても、実際はブラックといったケースがほとんどです。
未経験な方は特に、質問に対してしっかりとした説明をしてくれないSESには就職しないように気を付けましょう。
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結局、未経験からエンジニアを目指すのであればSESはあり
これまで解説したように、SESには多くのデメリットもありますが、それを理解したうえで、メリットを活かす働き方を心がければ、十分キャリアアップが可能です。
しかし、そのためには、SESならどこでも良い、という訳にはいきません。
ブラックなSESを避けて、いろいろな経験が積めるSESを選ばなければなりません。
就職先を調べる際には、良い点ばかりを聞くのではなく、今回紹介したSES選びのポイントをしっかり質問し、自分のメリットになるSESを選んで就職しましょう。
そして、そのうえで実際の仕事を通じていろいろなスキルを学び、キャリアアップに結び付けてください。
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